ナショナルJOBA Ride 照月湖CEI 160kmエンデュランス馬術大会
■照月湖100マイル・ライド(Endurance.netより翻訳)
contents

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1 ハル・ホールより
開会のあいさつ


2 日本における
エンデュランス


3 ベト・チェック

4 トレイルがオープン

5 万騎峠

6 佐々木が1位でゴール

7 2位はアン・ホール

8 照月湖のモンスター

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8.照月湖のモンスター
【翻訳】
照月湖のモンスター
クィン(アンとハルの息子)が言った。「ボートで照月湖に漕ぎ出した時、何かがオールの先を食いちぎったんだ」他に2人、湖畔の森から「かなり大きな動物」が湖に跳びこんだのを見た証人がいる。ネス湖かも・・・。とにかく照月湖には特別な何かがある。モンスターでなくても、たぶん日本の魔法のようなものが。今夜のディナーの際、ハルは日本のエンデュランスのパイオニアのひとりである楠山薫二郎氏(故人)の話をした。楠山氏は何年も前にハルに語ったという。「日本に、エンデュランス・ライドを行うのにパーフェクトな場所があります。長野(1998年冬季オリンピック開催地)からほど近い、美しい山々に囲まれた場所です。そこには威風堂々たる活火山の浅間山があり、照月湖というかわいらしい湖があります」と。それから20年後、私たちは今まさにそこにいるのだ。蓮見さんは楠山氏のことを知らないし、会ったこともない。ここでエンデュランス・ライドを開催する夢のことなど知らなかったのだ。それなのに夢は実現した。魔法だ・・・たぶん。

今夜、私たちは湖畔にある蓮見さんの家でバーベキューをした。穏やかであたたかい雰囲気に包まれて。誰もがほんの少し疲れ、睡眠不足気味だ。ハルとアン、その子どもたち、ベッキー・ハート、コニ‐・クリーチ、ダイナ・ロジェック、ジム・ボールドウィン、マイク・トムリンソン、ボブ・サンプル、サレンドラ・バブ(ドクター・ボビ‐)、ゲーリー・カスマン、矢口清隆、田中雅文、その他このライドをサポートしてくれた人たち、そしてもちろん蓮見明美と清一。エンデュランス乗馬を縦糸にして織り上げられた、この、人びとの織りなすタペストリーは、どんどん強く大きくなっている。文化も生い立ちも異なる人びとが、ひととき融合し、そしてまたいつもの生活に戻っていく。前よりも豊かな経験を身につけて、より忍耐強くなって。ボブ・ディランが言うように「運命のひとひねりのせいにして」もっと素直にものごとを受け入れられるようになって。

このスポーツ、この馬たちの魅力は、すべての文化を超えて広がり、私たちを出会わせた。サレンドラ・バブは、インドのバンガロールの市長だった人の息子で、13歳の時にインディラ・ガンジーと握手したことを憶えている。獣医として最初にエンデュランスに関わったのは、1994年に開催されたカタール初のエンデュランス・マラソンだった。その後は、ドバイのシェイク・ムハンマド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥムのもとで、FEIエンデュランスの発展に寄与してきた。ゲーリー・カスマンは、1970年代、陸軍諜報部員として日本にいた。東京の学校で英語教師をしながら情報収集の任に就いていた時、英語を勉強しにきた蓮見清一と出会う。蓮見は、日本の普通の生活と言われるものの枠組みを破壊することを決意した男で、妻明美と組んで手がけたすべての事業で大成功を収めている。ゲーリーもそこに加わり、あらゆる場面でふたりを助けてきた。

ボブ・サンプルは、オーストラリアのスノーウィ・リバーのホースマンで、馬と共にある人生を選び、馬と共に遺産を築いた。都会の作法を身につけ、馬以外の家族を持つ代わりに。ハル・ホールとアン・ホールの、馬とともに歩む人生は、ハルの初めてのテヴィス・ライド(若干14歳)の時に決定した。その後、夢と野心に導かれて強い馬の血統を勉強するようになった彼は、母親に頼んで連れて行ってもらったネブラスカ州の牧場(ヒアニス・キャトル・カンパニー)で一頭の馬エル・カルバージと出会う。この馬によってテヴィスの優勝とハギン・カップ、1976年グレート・アメリカン・ホースレース(ミズーリ州セント・ジョセフからサクラメントまで)走破へと、そして生涯のエンデュランス・ライディング、数々のテヴィス・バックルへと、彼の人生は方向付けられた。ベッキー・ハートと驚異のROグランド・サルタンの出会いもまた面白い。この馬がスペアとして提供された時に、彼女は「本物の」エンデュランス・ホースを買うことになった。ここから世界選手権の数々の伝説が生まれ、機敏で並外れた集中力を持つライダーとおそらく過去最高のエンデュランス・ホースの物語が始まったのだ・・・

 こんなすばらしい話は、まだいくらでも続けられる。どの大陸でも、どの冒険でも、異なる糸で織られた同じ布地が見える。王族と馬丁、貴族と庶民、そして、すべてを平等にしてくれる馬とトレイル。選手として、サポーターとして、パートナーとして、馬にまたがれば人間のあらゆる階層は消え、その道、その一日はチャレンジになる。我々は馬に畏敬の念を持つ。自分の身体でのチャレンジは、泥も疲れも奮闘も限界も、喜びだ。我々は冒険を愛する。「次の角を回ったら」・・・その先にあるものを見たいのだ。我々はすぐに友人になる。我々は奮闘を共にする馬と、そして人々と、固いきずなを結ぶ。我々は、馬によって結び付けられた、ひとつの家族だ。どこへ行こうとも、エンデュランス・ライダーたちといる限り、家族のように感じる。

 明日になったら、みんなそれぞれの場所に戻っていく。異なる生活、異なる目標、異なるチャレンジへと。だがこのグループは、そして、100マイル・エンデュランスへのチャレンジという蓮見さんの夢の衝撃をひとたび知ったより多くの日本の人々は、短く凝縮したひととき、お互いの生をひとつに織り上げた。そして、アティナ、ポニーボーイ、どさんこ馬たち、アイディール・・・馬たちもまた、この新しい小さなタペストリーの1ピースに織り込まれている。

(ステフ)

【本文】 Quinn (Ann and Hal's son) said...
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