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20080707
照月湖
2008年7月照月湖第2回定例会

前7月4日の獣医検査の日から夏の太陽が照りつけ、梅雨の長雨を心配していたのが嘘のような快晴となり、温度と湿度の関係で、馬の体調がかなり気がかりとなる天候での開催であった。このため、前日のブリーフィングでも獣医さんから特別の注意があり、ライダーの方々は、慎重な走行を進めた。しかし、慎重すぎてタイムオーバーとなってしまう事態が、トレーニング・ライドの40kmの参加組に多く見受けられ、残念な結果であった。
80kmの参加組数は11人馬で、完走が6人馬、タイムオーバー・失権が2組、は行失権が1組、棄権が2組という結果であった。

優勝・ベスコン賞は、6月大会で、鐙ベルトのずれにより腹部に傷ができてしまい、ライダーズ・オプションで棄権となった三橋・ヤノス組である。この暑さと湿度をものともせず、重量級ライダーを乗せたスタリオン・ヤノスは写真でごらんいただけるように余裕の堂々たる優勝とベストコンディション賞受賞であった。これは、時速9.4kmでゆったりとしたペースで走行したこの人馬の大きな成果であると評価したい。2位には、終始ヤノスと行を同じくしたポニーボーイが3分遅れでゴールした。一方、6月大会60kmで棄権を選択した田村・一郎組は、見事なリベンジ3位入賞であった。もう1頭参加していたスタリオンのケー・スターは前回優勝者の佐々木彩妃を乗せ、体調不良による失権であった。これは、夏の暑い時期に気候も大幅に違う不慣れな場所で、アメリカから来てわずか半年後の大会参加は、たとえスタリオンであっても難しい、ということを明らかにした。

60km競技は、60km初挑戦のアラブ種・スタリオン(ジュニアー)と道産子雌馬(ムー)という2頭の出走であり、不思議な組み合せが注目を浴びた。スタートの合図と同時に元気よく出走するジュニアーに負けずと追いかけていくムー。このスタートの展開に先々のムーの苦しさを予測したのは、私だけではなかったはずだ。途中のチェックポイントからの報告は2頭が一緒に走行している、というものだった。第1レグの走行時間3時間22分、2頭のインタイムに要した時間は2分差という結果だった。先行されたムーは第2レグでも必死にジュニアーを追走し、なんと、26秒差でゴールしてきた。しかし、ここまで。心拍数270以上という異常な数値で、代謝異常のために失権してしまった。ムーのがんばり・努力に敬意を表したい。やはり、ライダーは、馬の特性を十分に理解し、馬の特性に合わせて走行するべきである。ジュニアーで走行した北池は、天候の条件をよく考えて、スタリオンにしてはゆっくりとしたペースで走行させたのが、完走の結果である。

40km競技は、出場頭数15人馬という盛況な大会であった。馬の品種も、アラブ種、トロッター、半血種など7組、北海道和種(道産子)4組、与那国馬3組と多様であった。しかも、与那国馬の中に2頭の種馬がおり、雌馬が9頭、セン馬が3頭であった。
ルールどおり、与那国馬がスタリオン待機場に位置して出発の合図を待っていたのがおかしい。この種馬が、大会参加の雌馬ではなく、コース途中の放牧地にいる雌馬めがけて突進してしまうアクシデントがあり、その後やる気をなくしてなかなか走行しないという問題が出た。その結果かどうか、40km競技は6人馬がタイムオーバーという結果だったが、これは、第1レグを余りにもゆっくりと走行するという時間配分の失敗であったと思える。特に、暑さと湿気という気象上の問題を意識しすぎて、比較的天候条件がよかった第1レグに時間をかけすぎた結果が、後半の馬のやる気をそいでしまった事になったのだろう。次回は、この時間配分という教訓を糧に完走を目指してほしい。


与那国馬参戦記                    木原美夏

牝馬も同時のスタートだった為か、会場からすぐの山道に入った時点ではレインがだいぶ跳ねていました。
周囲に馬群が見えなくなってからは落ち着いて走行。比較的に順調に走っているように感じましたが1レグの10km標識の時点ではスタートから1時間余経っていました。
少なくともこのペースで進めればよかったのですが、1レグ後半からレインに立ち止まられることが多くなりました。前週の練習でも同じ傾向があって、下り坂に差し掛かったところで止まってしまうことが多いです。同行2頭が視界から消えてしまってもマイペースさは変わらず、結局降りて引き馬しました。結果的に他の2頭はレインを待っていることになり、全体のペースを落とす原因だったと思います。
また、数度これを繰り返した結果「止まったら降りてもらえる」と思ってしまってるように感じました。
2レグではできるだけ下馬せずに脚を入れてなんとか前に進ませようとしたら、お尻から茂みに突っ込んだり逆走を始めたりしてしまいました。
途中道産子の牝馬と一緒になることが何度もあり、テルは落ち着いていましたがレインは毎回落ち着きが無くなっていました。放牧場横を過ぎる時は道産子(牝)の方からこちらに突進してきて、レインも木柵に顔を突っ込んで大騒ぎ。1レグ終了後にそのことをお話したところ、2レグでは牝馬を厩舎に入れていただいたので立ち止まらずに通り抜けることができました。
各給水ポイントで、レインがきちんと水を飲んだのは川だけでした。他の場所では手のひらにすくった水に黒砂糖の欠片を落として飲ませてみたり、朝露のついた草を食べさせたりしてみましたが、最後の獣医検査では軽い脱水症状が見られる、との指摘を受けました。給水ポイントで確実に水を飲ませる工夫は必要だと思いました。
距離・時間ともに長いエンデュランスでは、馬の集中力を途切れさせない乗り方も大事だと改めて思ったライドでした。完走はできませんでしたが大変勉強になりましたし、楽しかったです。小柄な与那国馬のスタミナにも驚いています。
騎手として非常に未熟であることを痛感しましたが貴重な体験をさせていただいて感謝しております。本当にありがとうございました。
坂詰先生が「きちんとトレーングすれば時間内に走れる馬なのにもったいない」と仰っていたので、与那国馬達の今後のトレーニングとその結果に期待しています。


元気にゴールのヤノス・三橋組 80km優勝の盾 60km第1レグにほぼ同時にゴールしてきたジュニアーとムー
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40km出場の左から、レイン・木原、ラオ・伊藤、テル・福森の与那国軍団 スタリオン馬場待機中の与那国馬
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